━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Biweekly Physiex Voice Magazine 発声は面白くて深い!| ストレッチと筋トレで発声トレーニング ?発声フィジ・エクセ?(無料) vol.003 2015.03.02号 (毎月第一・第三月曜日発行) 発行:発声フィジカル・エクセサイズ研究会 http://physiexvoice.client.jp/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ コンテンツはこちら ■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【vol.003 目次】 01. 発声&運動トレーニングトピックス 02. 発声のワンポイント解説 03. 気になるボイスコラム  04. 声のなんでもQA 05. 編集後記 ■□■□■□■□■□■□■□■□■ ☆このメルマガは声という現象に興味を持っていただくこと、「発声フィジカル・エクセ サイズ」という発声トレーニング法を知っていただくことを目的としています。 ☆発声フィジカル・エクセサイズは、解剖学と運動生理学に基づき、ストレッチと無酸素 運動による科学的かつ難易度別のトレーニングで発声の問題の軽減・解消を目指すトレー ニング法です。 トレーニング法の詳細は→ http://physiexvoice.client.jp/ ☆発声フィジカル・エクセサイズは高齢者・認知症・廃用症候群の方にも効果的なことが 特徴です。 ☆発声フィジカル・エクセサイズ研究会は、新しい発声トレーニング法「発声フィジカ ル・エクセサイズ」の普及・発展を目的とした活動をしています。 トレーニング法の詳細は→ http://physiexvoice.client.jp/ ☆メールマガジン購読手続きをされた方は、発声フィジカル・エクセサイズ研究会の会員 扱いとなり、実技講習を受けたり、メルマガのQAで質疑応答ができます。 ご質問は→ http://physiexvoice.client.jp/mail.html またはTwitter → http://twitter.net/PhysiexVoice ☆メルマガ過去記事はこちら→ http://physiexvoice.side-story.net/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆01. 発声&運動トレーニングトピックス◆ ☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【003-1】運動学習はペアの方が効果的 リンク → http://www.nict.go.jp/press/2014/01/27-1.html 一年ほど前のプレスリリースですが、面白い話なので載せておきます。独立行政法人 情 報通信研究機構によると、同レベルの初心者の運動の様子を触覚で感じつつ練習すると、 一人で練習する場合に比べて、効果的に運動学習が進むことがわかった、とのこと。しか も相手が自分より下手でもペアの方が自分の成績は上がるそうです。まだ理由は解明され ていないそうですが、とすると発声トレーニングも誰かとペアになって喉や呼吸筋に触り ながら練習すると、一人でやるより上達するのかもしれませんね。 【003-2】鼻咽腔閉鎖力が高い人は声が大きい? Meng Jiang ほか「The Effect of Sound Intensity on Velopharyngeal Function in Normal Individuals」 ーJournal of Voice : 2015 Vol. 29, Issue 1, Pages 44?52 リンク → http://www.jvoice.org/article/S0892-1997(14)00096-4/abstract 日本語の大体の発音を出す時には軟口蓋という上あごの後ろ半分にある軟らかい部分が 上にあがって鼻へ過剰に息が抜けないようにしているのですが、この軟口蓋が長くて鼻腔 と口腔を分けて閉鎖する能力が高い人は声が大きかったという研究。理由は謎ですが、声 が鼻に抜けると音響的に分散するので小さく聴こえるということならありそうです。鼻咽 腔閉鎖力を鍛えるには強く吹く練習が一般的ですから、発声フィジ・エクセの負荷ブロー イングがちょうど当てはまります。負荷ブローイングは声量増加のエクセサイズですから 本当にそうなら理にかなっていますね。 【003-3】チューブ発声法は発声機能エクセサイズに劣らない Mara R. Kapsner-Smith ほか「A Randomized Controlled Trial of Two Semi-Occluded Vocal Tract Voice Therapy Protocols」 ーJournal of Speech, Language, and Hearing Research : February 11, 2015. リンク → http://jslhr.pubs.asha.org/Article.aspx?articleid=2119168 長い管をくわえながら発声させると声が良くなるというチューブ発声法と、割とよく使 われる発声機能エクセサイズ vocal function exercise を群比較して効果の差を調査した研 究。結果、チューブ発声法は特に劣った成績ではなかったというもの。なかなか効果研究 の報告がなく今ひとつ広まらないチューブ発声法ですが、おそらく良くなる仕組みがはっ きりしていないことがマイナーな原因のひとつでしょう。イメージトレーニングの一種の ような気もしますが、方法としては簡便なので、これで少しやってみようという人が増え るかもしれません。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆02. 発声のワンポイント解説◆ ☆発声にまつわるわかりにくい用語・概念や発声エクセサイズのコツなど、テーマを毎号 ひとつ選んでワンポイント解説します☆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【解説第3回】 過緊張発声とは 過緊張発声とは、喉にぐっと力を入れて声を出している状態で、リキみ声という言い方 で言われたりもします。ごく軽いものまで含めれば、ありふれてよくみられる現象です。 そして声に過緊張が起こるタイミングと部位によって3種類のタイプに分けられます。 第一は声の出し始めのタイミングで声帯に力が入ってしまう状態。これは硬起声と呼ば れて、聞き手には硬いしゃべり方に聴こえます。第二は出し始めだけでなく声を出してい る間ずっと力が入っている状態です。この場合は大体ガラガラ声とかダミ声といわれるよ うな声、あるいは苦しそうな声になります。ガラガラしたような声は粗ぞう声、力が入っ て苦しそうな声は努力声と呼ばれます。かすれ声になることも珍しくありません。第三は 声帯だけでなくその周囲、または喉頭全体に力が入っている状態。この場合はこもったよ うな声や詰まった苦しそうな声になります。喉詰め声ともいわれ、大体の場合、声量も小 さめになります。3種類と書きましたが、それぞれは単独でみられるというよりは2種類 または3種類が混ざってみられる場合も多いので、パターンとしては7通りあることにな ります。 何らかの疾患でこのような声になる場合もありますが、多くは声帯や喉頭の筋肉をうま くコントロールできなくて、または周囲が常に騒がしいなど環境が原因で、あるいはなん らかの理由で力を入れて声を出すことが習慣になってしまってこのような声になっていま す。第一と第二は力を入れて声を出すために声帯が滑らかに動かずカクカクとした動きに なってしまった結果です。他に息の力が弱いためにそれを補ってしっかり声を出そうとし てリキんだ声になってしまう場合もあります。 第一の硬起声の方は世間でよく見かけます。若い女性には特によくみられますが、これ でお困りの方は話すことをお仕事にされる方、印象を重視される立場の方を除けばほとん どいないでしょう。第二と第三でお困りの方は一定数いらっしゃると思います。 よく喉の力を抜け、といわれますが、それでできれば苦労はないと思われます。あくび ーため息法とか、笑い声発声とか、いろいろな方法がありますが、発声フィジ・エクセで は喉頭のストレッチ+は行発声によりリキみの解消を図ります。 自主練習法は以下のリンクをご覧下さい。 http://physiexvoice.client.jp/kaisetsu11.html またこのような声の方の発声指導法は以下のリンクをご覧下さい。 http://physiexvoice.client.jp/kaisetsu24.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆03. 気になるボイスコラム◆  ☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【気になるその3】ビブラートが気になる ◇声の芸能◇ ビブラートが気になります。 ビブラートという用語はご存知でしょうか? 歌の中で声を長く伸ばす時にみられる声の 揺れのことです。プロの歌手とか声楽家の方たちは大体これを意図的に入れることができ るようです。オペラ歌手の方たちの場合は特に目立ちますね。そしてビブラートが入れら れることが歌がうまいことのひとつの条件になっているみたいです。私たちもなんとなく そう認識しています。 そもそもビブラートってどうやってやるのでしょう。 ビブラートの厳密な定義は特にないようなのですが、音声生理学の新美成二先生が東京 大学教授時代にされた御研究の喉頭ビデオをみたところでは、ビブラートを入れる方法に は概ね三つあるように思います。第一は呼気によるコントロール。息を断続的に強く弱く 強く弱く、と出すと声が揺れます。難しそうですが、実は息を一杯に吐いたあとさらに吐 くと呼気筋が痙攣するように収縮するので、ちょっと練習するとできるようになります。 腕に力を思い切り入れるとワナワナと震えますがあの感じですね。横隔膜ビブラートとい われたりするようですが、横隔膜を使わなくともできます。 第二は舌根の沈下。本格的なビブラートは喉頭前庭という声帯の上の空間を素早く広く したり狭くすることで音に変化をつけているようです。そのためには喉頭蓋という喉の蓋 のような部分を動かします。喉頭蓋は自身では動かないのですが、舌の根元を沈下させ、 開いている喉頭蓋を押して少し閉じさせるようにします。少し閉じたところで舌の根元に 力を入れると痙攣して喉頭蓋が振動しビブラートがかかります。舌の沈下は舌をぐっと下 に下げるとできます。 第三は喉頭の下降。同じく喉頭蓋を使いますが、舌を下げるのではなく喉頭を下げ力を いれると喉頭が痙攣し喉頭前庭が振動します。あと第二と第三は下咽頭収縮筋も使ってい ると思いますが、ちょっと練習が難しそうなのでここでは割愛します。とはいってもどれ もやっぱり練習が必要ですし、得手不得手もあると思います。私は第一と第二はできま す。第三は喉頭下降まではできるのですが振動がうまくできません。 ところでビブラートは歌にとってどんな意味を持っているのでしょう?ビブラートがで きると歌の聞こえ方が良くなるのでしょうか? 音の揺れが耳にとって心地よいという聴覚心理学的な実験結果があるのかどうかはよく わかりませんでした。ただ確かにバイオリンなどの弦楽器でも、ハーモニカやフルートな ど吹奏楽器でも音の揺れを出すようなテクニックがあります。ヒトは単調な刺激が続くと その刺激を情報として受け取らなくなってしまうそうです。これは認知心理学でも確かめ られています。単にメロディをなぞるだけでは聴こえ方が単調で飽き足らないのかも知れ ません。そこからするとビブラートは聴こえ方に変化を持たせ聴く人を飽きさせないため の良い方法ということになります。ビブラートには普通と違う発声だから珍しくて価値が あるなどの単純な理由でない何か魅力があるのでしょう。 では当の歌手の方々はビブラートをどう捉えているのでしょうか。入れるものだと思っ てとりあえず入れているのか、入れると歌にアクセントがつくと思って入れているのか、 みんなに上手だと思われたくて入れているのか。まあおそらくは色々あるのでしょう。使 えるが使わない信念の方もいらっしゃるという話です。 どの方法を使っているかはよく見ると実はわかったりします。注目すべきは喉仏の位置 です。デビュー時からの入れ方の変遷を追って行けたら面白いかもしれません。歌によっ て方法を変えていたらなかなかのテクニシャンですね。これもひとつの歌の見どころでは ないでしょうか。歌手の方が何を考えて歌っているか想像を巡らせると尽きません。歌手 の方のビブラートがとっても気になります。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆04. 声のなんでもQA◆ ☆言語聴覚士がお寄せいただいたご質問にすべてお答えします メルマガ購読者であれば、どなたでもどんなご質問でもOKです☆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【Q】発声フィジ・エクセは嚥下障害にも効くのでしょうか? 【A】発声には直接関連しませんがお答えします。一連の声量増加エクセサイズは誤嚥し た際の咳嗽力強化に役立ちます。おそらくこれが最も嚥下障害に効果を発揮できるプログ ラムと思います。特に負荷ブローイングが有用でしょう。また気息声の軽減は誤嚥物の声 門下への流入の防止および嚥下圧向上に役立ちます。 さて次には、喉頭筋ストレッチによる喉頭周辺の過緊張軽減が舌骨上筋群の収縮不足に よる喉頭挙上不全に効くことが期待されます。これは実例としては経験していますが、ま だどの程度効くのかは確かめられていません。ただしこの場合はおそらく過緊張発声もあ りますので、発声エクセサイズと併用しながらになるでしょう。 もうひとつ咽頭収縮筋の収縮不足による咽頭クリアランスの低下に咽頭筋ストレッチが 効くことが期待されますが、残念ながらこれはまだ成果は出ていません。試してはみてい ますが、今のところこれの効果は発声に限られています。 その他の嚥下障害の原因、嚥下反射生起遅延や輪状咽頭筋弛緩不全などに効果のありそ うなテクニックは発声フィジ・エクセにはたぶんありません。大体こんなところと思われ ます。よろしければ用いてみて下さい。 ■QAコーナーへのご質問をお待ちしております。  → http://physiexvoice.client.jp/mail.html TwitterでもOKです → http://twitter.net/PhysiexVoice ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆05. 編集後記◆ まだ始まったばかりのこのメルマガですが、おかげさまを持ちまして購読者は100名を 越えました。発声についてお伝えしたいことはまだまだ山のようにあります。正直、月2 回発行はもどかしい気持ちもあるのですが、最初から飛ばして息切れしてしまっても申し 訳ありませんので、ここは抑えつつコンスタントに発行し続けることをまずは目標にした いと思います。皆様に面白いと思って頂けるメルマガに育てていきたいと思いますので、 今後ともよろしくお願い致します。 ■次号vol.004発行予定 2015年03月16日 発声ワンポイント解説第4回「腹式呼吸神話」 気になるボイスコラム「ハスキーボイスが気になる」ほか ======================= Biweekly Physiex Voice Magazine 発声は面白くて深い! | ストレッチと筋トレで発声トレーニング ?発声フィジ・エクセ?(無料) vol.003 2015.03.02号 ( 毎月第一・第三月曜日発行) ■発行人・編集人:  発声フィジカル・エクセサイズ研究会 主宰 渡邉佳弘(言語聴覚士・学術博士)  → http://physiexvoice.client.jp/ ■内容に関するご質問・お問い合わせ先:  → physi.ex.voice@gmail.com  または下記メールフォームから  → http://physiexvoice.client.jp/mail.html ■QAコーナーへのご質問をお待ちしております。 ■QAコーナーへのご質問をお待ちしております。 ■QAコーナーへのご質問をお待ちしております。 上記アドレスか http://twitter.net/PhysiexVoice からお寄せ下さい。 ──ご注意──────────────────────  本メールのアドレスは送信専用のため、メールアプリの  返信機能で返信いただいてもメールは届きません。  上記アドレス宛にお願いいたします。 ─────────────────────────── メールが届かない場合は迷惑メール等に分類されている場合がありますのでメールソフト のドラフトフォルダなどをお確かめください。 ■メルマガ過去記事:→ http://physiexvoice.side-story.net/ ■ Twitter:→ http://twitter.net/PhysiexVoice ───────────────────────────── ■発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ ■購読解除はこちら: → http://www.mag2.com/m/0001647835.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ (C) 発声フィジカル・エクセサイズ研究会. 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